AKATUKI No.762

編集・発行:(一財)日本青年協会
令和2年7月31日

千葉県船橋市藤原町にあった勝壮鹿道場〔昭和8年に設置し、昭和46年に閉鎖された:写真中央〕。協会の歴史の中で、道場として最も長く、多くの農村青年の教育を行った。

理事会・評議員会開催される

令和2年度第1回理事会、第1回評議員会、書面による決議により開催 〜 平成31年度(令和元年度)事業報告、収支決算承認される

令和2年6月8日(月)書面による決議において第1回理事会が、6月24日(水)書面による決議において第1回評議員会が開催され、平成31年度(令和元年度)の事業報告・収支決算について承認された。今回は、コロナ禍により国の方針に従い、都、県の移動を自粛し招集を断念した為、理事会、評議員会ともに書面による決議にて開催された。平成31年度(令和元年度)の事業報告は以下のとおりである。

平成31年度(令和元年度)事業報告

1.時代に即した農業関係の活動を志向する青年の育成と助成
農業経営及び農業研修に取り組む国内の青年に対し、農村青少年教育機関等との協力を得て、実地研修および研究する青年等に対し研修支援金の助成を行った。
今年度は、12名の青年への助成を行い、それぞれの青年が研究・研修を行った。今年度は、毎年行っている報告会を、コロナ禍により行う事が出来なかった為、平成31年度(令和元年度)の研修生は、今年度以降の報告会に参加し、その年度の研修生と合同でネットワーク作りを行い、今後も連絡を取り合いながら営農、就農への情報交換を出来る様にし、農業青年同士学び合える環境を作る。
(1)農業関係青年研修支援事業〔研修支援金助成〕
期間:平成31年4月~令和2年3月
人員:12名
支援金:一人30万円(農業専門学校学生3名、農業青年9名)

2.機関紙の発行
「アカツキ」(年2回、タブロイドA4版、4頁、1回400部)

3.その他この法人の目的達成のため必要な事業
(1)友好団体、関係機関との連絡協調
文部科学省、農林水産省、内閣府、茨城県利根町、中央青少年団体協連絡議会等との連絡を緊密にし、協力提携のもとに事業、情報交換等を行った。

令和2年度農業関係青年研修支援事業(研修支援金助成)

本年度も、農業関係青年研修支援事業を行います。コロナ禍により、研究、研修が厳しいこともありますが、今回も、農業関係青年への支援を考えておりますので、新規就農者、農業後継者等、農業に関する研修・研究を行う方がおられましたら、是非ご推薦下さい。
詳細は、本部事務局までご連絡ください。

令和2年度農業関係青年研修支援事業

1.目的:
近代的農業を志向する青年の研修活動に対して経済的な支援を行い、優れた農業関係青年の育成を通して我が国の農業振興に寄与することを目的とする。

2.対象者:
(1)農業関係教育機関に在学中の日本国籍を有する学生・生徒(大学院、大学、短大、専門学校等)
(2)農業に関わる青年(原則として20歳から40歳)

3.支援対象研修活動内容:
(1)農業経営に関わる知識・技術の調査研究
(2)国内外における農業に関わる調査研究

4.支援人員:
12名(学生4名、農業青年8名)

5.支援内容:
1名につき30万円(年額)

6.報告義務:
被支援者は研修終了後、研修内容を報告書として提出する。

7.募集方法:
《学生》東京大学、北海道農業専門学校等の関係教育機関に窓口になってもらい、学生の中から希望者を募る。
《農業青年》日本青年協会関係者、農業関係団体等を通じて募集を行う。

8.提出書類:
支援金受給申請書1部
研究計画書1部
指導教員の推薦書1部(申請者が学生の場合に限る。応募者の学業、人物、将来性についての所見を記した親展書。様式適宜。)

9.その他:
(1)被支援者は、日本青年協会が主催する農業関係の研修会等があれば参加すること
(2)被支援者は、本人の都合により研修を途中でやめる場合、支援金は返納すること
(3)被支援者は、令和3年3月6日(土)から7日(日)に開催する事業報告会に参加すること。

農業関係青年研修支援事業報告

アグリテクニカ視察に参加して

北海道農業専門学校 細谷和喜

私は11月11日から15日にかけて、ドイツのハノーファーで「アグリテクニカ2019」を視察しました。「アグリテクニカ」は農業用機械、機器および管理技術に関する世界最大規模の国際専門見本市です。視察の動機ですが、私には将来アフリカなどの開発途上国で、野菜栽培による農業の発展に関する仕事がしたいという夢があります。そこで、今回のアグリテクニカで展示される、ヨーロッパ諸国の高度な施設園芸技術を視察することで、野菜栽培が難しい環境で農業をするためのヒントを得られればと考えたからです。

国際見本市会場入り口の外観


アグリテクニカ2019 会場内の様子

アグリテクニカが開催されている「ハノーファー国際見本市会場」では、1棟2ha程のホールが27棟そびえていて、あまりの広さに無料送迎バスが設けられている程でした。アグリテクニカの会場はホールごとに「トラクター」、「防除」、「輸送」「フルーツ、野菜」「生産資材」等と項目が分けられていました。

私たちはまず、施設園芸関連の展示ホールに向かい、「idromecanica LUCCHINI」:イタリアの温室関係会社(ブース内に主に温室内の空調、かん水用の機材が展示)、「Dh licht Gmbh」:ドイツ ヴュルフラートの照明会社(この会社はハウス内の様々な照明器具を提供)を視察し、次に個人的に興味深いと思った2つの会社、「ZOKAPI」(スペインのニンニク用ハーベスタ及び、ニンニクの調整機械などを製造している、ニンニク専門の会社)、「RINGO PLAST」(西ドイツのプラスチックボックス製造会社)を視察しました。そして、大型農作業機械メーカー「JOHNDEERE」、「CLASS」のブースですが、2つとも1つの会社でホール全体の4分の一の面積を占めるほど規模が大きく、両社ともトラクターは勿論、重機やハーベスタ、コンバイン等、そのほとんどが、とてつもなく大きくて感動しました。

「RINGO PLAST」の野菜、果樹用コンテナ


「JOHNDEERE」の大型トラクター

今回、初めてドイツに渡航しましたが、私が感じたヨーロッパと日本の農業の一番の違いは、ヨーロッパの農業は自国の弱点を強みに変えることに長けているということです。日照不足を人口照明で補ったドイツ、降雨量の少なさを点滴かん水によって補い、かん水技術を世界一にまで向上させたイスラエルなどもそうだと思います。環境問題でも、もともと大気汚染が問題となっていたドイツは、様々な取り組みで年間のCO₂排出量を1990年から2018年にかけて31%も削減しています。

日本人が努力不足ということではありませんが、ヨーロッパ人はそういった自国の問題に対して多くの国民が問題を直視し、協力する姿勢が強いと感じます。このような点が農業以外においても日本人が見習うべきところだと感じました。

今回の海外農業研修で、ヨーロッパの最新の施設栽培技術を実際に自分の目で見て、ヨーロッパの温室内のかん水、空調技術や環境に配慮した栽培技術などを知り、将来アフリカで農業をするうえでのヒントをたくさん得ることが出来ました。また、海外と日本の農業の違いにも気づくことが出来ました。今回学んだことをしっかり心に収め、自分の将来に大いに生かしていきたいと思います。

この度の海外研修を企画していただきましたHISの職員様、支援金の助成をしていただきました日本青年協会様に、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

協会日誌

令和2年5月
21日 農業関係青年研修支援事業企画委員会
23日 監査

6月
8日 令和2年度第1回理事会(書面決議)
24日 令和2年度第1回評議員会(書面決議)

7月
16日 香取政典常務理事打合せ

あとがき

新型コロナウィルスが更に猛威を振るう中、豪雨による被害も年々各地で増えております。新型コロナウィルス感染症に罹患された皆様および関係者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。また、豪雨により被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。近年、地震、異象気象など様々な災害が後を絶ちません。特に水害に関する被害は毎年のように聞く様になりました。今年も九州から東北まで報道されておりますが、皆様も、地域におけるハザードマップを確認し、備えをお願いいたします。

さて、今号の表紙は、当協会の原点ともいえる勝壮鹿道場です。懐かしい方もおられることでしょう。わたくしも、この農場で生まれ育ちましたので、とても懐かしく感じます。現在では、牡鹿台ハイツが14棟建っており、周辺も宅地造成化が進み、近くの馬込沢駅周辺も、林が大型スーパーや宅地で埋め尽くされ、時代の流れを感じます。(佐藤)

2020年07月31日更新